「チューブラー・ベルズ/マイク・オールドフィールド」 73年 評価3.5


 A面,B面それぞれ1曲のインストゥルメンタルを収録した、独特なアルバム。A面の導入部がホラー映画の古典的名作「エクソシスト」に使われた(マイク自身は無断で使用されたこと、意図していたのと違うイメージを植え付けられたことから憤慨している)ことがきっかけで,この系列の作品にしては異例のヒットを記録した。

 たった一人で何種類もの楽器を多重録音した作品であるが、イージーリスニングとは違いそれぞれの楽器が個性を主張し、その融合はまるで大自然の移り変わりや人間の無意識下の情緒の彷徨いを表現しているかのような緻密で起伏に富んだ展開を奏でる。いつでも聴きたくなるというものではないが、やはりこれは歴史に残る名作であるのだろう。映画のサントラ盤を除いて、私の持っている唯一のインストゥルメンタルアルバムである。